前回の記事では、CADオペレーターの仕事について解説しました。
しかし製造関連の業界にはもう一つ、CAMオペレーターという職業があります。
共通している点も多いですが、混同してしまうと転職活動の際に、業務内容について誤解が発生してしまう原因にもなるかもしれません。
そこで今回は、CAMオペレーターの業務内容とCADとの違いについてまとめました。
もくじ
1.CAMとは
CAMとはComputer Aided Manufacturingの略で、日本語では「コンピュータ支援製造」と訳され、3DCADで作成した3DデータをもとにNCデータ(加工軌跡、加工パス)と呼ばれる工作機械用の情報を作成する作業になります。
このNCデータを使って加工機を動かすことで、金属加工を自動的に行うことができます。
一般的には自動車や航空宇宙、電気製品などの分野で活躍する職業になります。
加工といってもいくつか種類があり、代表的なものは以下になります。
①金型加工
②製品(部品)加工
最近は3Dプリンターも登場してきていますが、世の中の各種部品のほとんどは上記①、②の製造過程を経て、製品として組みたてられエンドユーザーのもとに届きます。
金型加工は、たい焼き機の型をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、その型を加工することです。
製品(部品)加工は、金型で作られた製品(部品)に穴あけや平面加工などをすることをいいます。
これらの加工はどちらも3DCADの登場で劇的に仕事のやり方が変わりました。
3DCADが登場する前は、工場の加工機で手動でプログラミングしながら加工軌跡を覚えさせたり、もしくは完全に手動で加工機を動かして加工していました。
これが3DCADにより作られる3Dデータをもとに、パソコン上で加工軌跡(加工パス)のNCデータを作り、加工機を自動で動かすという仕事のやり方に変化しました。
金型用NCデータ作成の場合は、CAMソフトが3D形状を自動で認識してくれ自動で加工パスを作成してくれ劇的な生産性向上につながりました。
このように、CAMオペレーターという仕事は3DCADと密接な関係があるため、よく「CAD/CAMオペレーター」とまとめて呼ばれることが多い職種です。
○CAM業務でよく使われるソフト
CAMソフトの代表的な例として、
・HSM
・hyperMILL
・FF/cam
・BESTOWS Milling
などがあります。
HSMは、InventorとSolidworksといったCADとの連携ができ、図面データのやり取りがスムーズに行えます。
また、hyperMILLは5軸加工CAMとして国内の多くの工作機械メーカーに採用されている、信頼できるCAMソフトです。
2.CADとの違い
○CADは「設計」、CAMは「製造」の場面で使われる!
上述の通り、CADとCAMの違いは、業務で使われる場面の違いにあります。
CADは「設計」、CAMは「製造」の場面で使われるツールです。
製造の流れとしては、
CADで設計図面を作る→CAMで工作機械に指示する→工作機械が製品を作る
といった流れになります。
つまり、CADで設計図面が描けてもCAMが無ければ工作機械を動かすことができず、正確な製品を作ることができません。
その逆もまた然りで、CAMだけでは設計図面が作れません。
ですので、正確な製品を作るためにはCADとCAM、どちらも十分な知識が必要になります。
3.CAMオペレーターの仕事とやりがい
CAMオペレーターの働き方は会社によって違うとは思いますが、金型加工を例にして説明すると以下の流れで仕事をするイメージです。
①3DCADで3Dデータ作成もしくは3Dデータ受領
②3DデータとCAMソフトを使ってNCデータをプログラミング
③加工シミュレーションを使ってちゃんと加工されているかチェック
④刃物(ドリルのようなもの)で加工できない箇所は別工程(放電加工、手仕上げなど)にするなど工程設計する
⑤工場の加工機にNCデータを送信する
⑥加工後の金型チェック
⑦別工程(放電加工、手仕上げなど)後の金型チェック
3DCADで3Dデータまで作成するかどうかでCAMオペレーターの負荷も大きく変わってきますが、いずれにせよ金型製作においてはCAMオペレーターがNCデータを作らないと工場の加工機を動かせないということなります。
このように、CAMオペレータの仕事は金型製作における全工程のトップバッターを担っていることになります。
○CAMオペレーターのやりがい
CAMオペレーターの仕事をしている方からは、以下のような点をお聞きします。
・モノづくりに深く関われる
・自分が加工した金型、製品を現物で見ることができる
・CAD/CAMというデジタルエンジニアリングを広く経験できる
・加工工程全体を自分好みにコントロールできる
・工場の作業員の方と仲良くなれる
前述した仕事の流れを見て頂くと分かると思いますが、CAMオペレーターは製品の製造にかなり密接に絡みますし、自分でプログラミングしたNCデータで金型や製品が加工され現物となって目の前にくるので、モノづくりが好きな人にはたまらない職業でしょう。
また会社にもよると思いますが、CAMソフトでNCデータを作るだけでなく3DCADを使った3Dデータのモデリングや加工工程の設計なども併せてやれると仕事の幅が広がってやりがいがあります。
加工工程の設計においては、自分の設計した工程によって工場の多くの人や機械が動くので、責任もありますがやりがいも感じられるでしょう。
○CAMオペレーターのつらい所
人によってつらいと感じるところは異なりますが、以下のような点が一般的にCAMオペレーターのところになります。
・長時間のパソコン操作で目疲れや肩コリがある
・納期が厳しい
・ミスに対する精神的なプレッシャーがある
・残業が多い
前述したやりがいの裏返しで辛いところもあるのも確かです。
例えば自分の作った3DデータやNCデータで間違ったものが加工されてしまったときは、かなりの追加コストが発生します。
金型でいうとミスにより溶接や追加工が発生します。
自分のミスによりコストだけでなく工場全体も追加で作業が発生するので、このミスに対するプレッシャーはあります。
また、自分の作業が後の工程に与える影響が大きいため、予定を厳守するために残業が必要になることもあります。
進捗管理やミスを減らせる取り組みができる人に向いている仕事と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はCAMオペレーターの仕事内容、CADとの違い、やりがいや辛いところにについてご紹介しました。
CAMオペレーターはモノづくりに密接に関係する職種ですので、経験を積みながらモノづくり全体を把握し、幅広いデジタルエンジニアリングの職種へキャリアアップしたい方にはおススメできる職業です。
手に職をつけたい転職希望の方は、ぜひご検討されてみてはいかがでしょうか。
この記事を監修したキャリアアドバイザー:
八重樫 勇輝
株式会社Reboot代表取締役
年齢:28
出身地:岩手県
趣味:漫画・映画鑑賞
経歴:
自分の転職活動の際、周囲のサポートで助けられたことをきっかけに、今後は自分が求職者の助けになることを決意し、起業。
現在は代表自ら求職との面談・就職支援を精力的に行う日々に明け暮れている。
求職者の皆様への一言:
面談から求人のご案内、資料の作成、入社後のフォローまで手厚くサポート致します!
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