世の中の移り変わりを受け、採用手法も刻々と変化しています。従来のやり方にとらわれない、新しい採用手法も誕生してきました。
直近の市場動向としては、長引くコロナ禍の影響でやや買い手市場になっていることから、以前より倍率が上がり、求職者は内定を取ることが難しくなっています。そんな状況のなかで、自分に合った企業に出会えるチャンスを広げ、転職活動をよりスムーズに進めるためには、企業が行っている採用手法についてしっかり把握しておくことが大切です。
この記事では、代表的な中途採用の手法と、自分に合った転職手法の選び方について解説します。
もくじ
世の中に存在する中途採用手法8選
中途採用手法のなかには、 転職サイトや 転職エージェントなどを利用する従来型の手法から、 ダイレクトリクルーティングや リファラル採用といった比較的新しい手法までさまざまあります。以下では、代表的な採用手法を8つ紹介します。特に正社員の採用は、いずれの手法も多くの企業で取り入れられていますのでしっかり確認しておきましょう。
1. 転職サイト
転職サイトとは、企業の求人情報を集めた転職者向けの求人サイトです。企業規模に関わらず多くの会社が中途採用に利用しています。求人情報が豊富に掲載されているため、個々の企業のホームページを閲覧することなく、求職者にとって必要な情報を得られるのがメリットです。また、任意の条件で検索できるため、希望条件に合う求人を見つけやすいでしょう。気になった企業の求人票があれば、求人サイトを通して気軽にエントリーできます。効率的に転職活動を進めたい人や自分のペースで仕事を探したい人におすすめの手法といえるでしょう。
2. 人材紹介(転職エージェント)
転職支援のプロを介して、自分に合った転職先を紹介してもらえる「転職エージェント」。キャリアアドバイザーが採用企業とのやり取りを代行したり、転職の専門家として応募書類や面接へのアドバイスを行ったりするため、転職が初めての人や、ひとりで転職活動を進めるのが不安な人、まだ志望先が絞り切れていない人におすすめです。また、転職エージェントの担当者は転職者の希望だけでなく、企業側がどのような人材を求めているのかも把握しています。双方の希望に合致した求人票をピックアップしてくれるため、ミスマッチが少ないのも魅力です。
転職エージェントを利用する場合は、エージェントによって得意分野や強みが異なることに注意しましょう。ITの求人に特化していたり、医療系の求人に強かったりするなど、専門分野はさまざまです。そのため、自分の目指す分野に合ったエージェントを選ぶようにしましょう。
3. リファラル採用(知人紹介)
リファラル採用とは、転職を希望する企業で実際に働いている知人や友人に紹介してもらう方法です。厚生労働省が令和2年に発表した「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、約27.6%の企業が知人や社員からの紹介による採用を行っています。
社風や業務内容を理解している社員がリクルーターとなり、人柄をよく知る友人を紹介するため、企業と応募者間のミスマッチが起こりにくいのが魅力です。また、企業にとっては信頼のおける社員からの紹介であるため、一般的な採用フローである書類選考などのステップを飛ばして、面接から選考を始める企業もあります。
このようにリファラル採用は魅力の多い転職方法ですが、一方で「内定を辞退しにくい」「不採用になった場合、紹介者との関係が気まずくなる可能性がある」などのデメリットもあることに注意しましょう。
4. ダイレクトリクルーティング
企業側から積極的に求職者に声をかけてオファーを行うことを、ダイレクトリクルーティングといいます。企業にとっては、候補者からのエントリー待ち、人材紹介会社からの紹介待ちという受け身の姿勢ではなく、自ら候補者を探してアプローチするため「攻めの採用手法」と呼ばれています。
ダイレクトリクルーティングでは、転職サイトなどのスカウト機能がよく利用されます。転職サイトに登録されたスキルや履歴書を採用担当者が見て、魅力的な人材にオファーを送るのが一般的です。声をかけられたからといって必ずしも採用されるわけではありませんが、企業側の求めている人材像に近い場合にオファーが来るため、選考を通過する確率は高い傾向にあるでしょう。
5. ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを活用した比較的新しい採用手法です。企業はSNSアカウントを開設して定期的に採用情報を発信していく必要がありますが、SNSという身近なツールを使うことによって求職者と気軽にコミュニケーションをとることができます。求職者にとっても、企業のSNSアカウントからリアルな情報を得られるのが魅力です。
以下では、ソーシャルリクルーティングのツールとしてよく利用される、5つのSNSを紹介します。
LINE
LINEは幅広い世代が活用しているコミュニケーションツールで、日本での利用率は90%以上です。企業の公式LINEアカウントを友だち登録すると、採用情報が送られてくるだけでなく、個別で採用に関する質問をすることもできます。
Facebookは実名での登録を原則としていることから、信頼性の高いSNSと考えられています。プライベートだけでなく、ビジネス上の人脈を広げることを目的に活用している人も多いです。特に30代の利用者が多い傾向にあるため、少しキャリアを積んだ30代の転職者へのアプローチとして利用されているケースがよく見られます。
Instagramの利用者は10代~20代といった若年層が多いため、若くフレッシュな人材を探す際に活用される傾向にあります。画像や動画を用いて視覚的にコンテンツを発信するInstagramの場合、個人アカウントにおいて戦略的に自らのブランディングを行いつつ、多くのフォロワーを獲得している人は、ビジネスにおいても優秀な人材として注目される可能性があります。
Twitterは拡散力の高いSNSであるため、PRを目的としてTwitterを活用している企業も少なくありません。最新の情報をいち早く手に入れられることから、転職活動の際には気になる企業のTwitterをしっかりと確認しておくことが大切です。また、自分の得意分野やスキルなどをプロフィールに書き込んでおくと、企業から声がかかることもあるでしょう。
LinkedInは、ほかのSNSに比べて日本での利用率は低いものの、世界では約8億人に利用されています。ビジネスに特化したSNSで、求人関連の機能も備わっており、特に外資系の仕事を探している人におすすめです。日本でも認知度は年々上がってきているため、ソーシャルリクルーティングが活発になっていくにつれて、さらに利用者が増加することが予想されます。
6. 転職イベント(転職フェア)
多くの企業が会場に集まり、自社ブースにて会社説明を行う「転職イベント」。人事担当者から企業情報や仕事内容、求めている人材像、採用情報などの説明を直接受けることができ、選考に進む前の段階で企業の担当者と話せるのが大きな魅力です。最近では、オンラインでも参加可能なケースや、オンライン前提でのオンラインセミナーなどのイベントも増えてきました。
転職イベントは、転職エージェントが主催するもの以外に、地元企業への転職を応援する地方自治体によるイベントや、IT業界・飲食業界といったひとつの業界・職種に特化したセミナーなど、転職イベントは基本的に通年で多様なテーマで開催されています。特に開催数が多い時期は3月と9月ですが、イベントによって開催時期が異なるため、転職サイトや転職エージェントのWEBサイトなどで小まめに情報を確認しておきましょう。
7. 各企業のWEBサイトでの求人掲載
各企業のWEBサイトにも求人情報が掲載されていることがあります。求人情報だけであれば求人サイトなどでも確認できますが、企業のWEBサイトでは、代表取締役や経営理念、沿革、財務情報など、企業を知るために必要な情報が網羅されています。そのため、 求人に応募する前にしっかりと目を通しておくことが大切です。
また、面接に臨んだ場合には「どれほど真剣に働きたいと考えているのか」という熱意を面接官からチェックされます。企業のWEBサイトを隅々まで確認しておくことで、面接で入社意欲をアピールできる可能性もあるでしょう。
8. ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークは、全国各地に設置されている公的機関で、だれでも無料で求人閲覧や転職相談ができます。厚生労働省が令和2年に発表した「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、転職者の募集方法として57.3%の企業が利用しています。基本的には営業所ごとに地元の求人情報を取り扱いますが、ほかの地域の求人情報も閲覧することが可能です。
無料で求人を掲載できるという手軽さから求人掲載数は多い傾向にありますが、掲載情報が精査されていなかったり、一部の情報しか公開されていなかったりする場合もあります。気になる求人があれば会社のWEBサイトを確認するなど、より詳しい情報を探してみると良いでしょう。
自分に合った転職方法の選び方
ここまで紹介してきたように、現代ではさまざまな転職手法が取り入れられています。手軽に、且つ効率的に求人を見つけたい人は転職サイト、転職のプロによるサポートを受けながら仕事を見つけたい人は転職エージェント、SNSでのコミュニケーションや情報検索が得意な人はソーシャルネットワークを利用した転職活動など、それぞれの転職手法の特性を理解したうえで、自分に合った方法を試してみてください。
また、転職方法はひとつに絞る必要はありません。ハローワークと転職サイトを併用したり、転職イベントに参加しながら転職エージェントに登録したりと、いくつかの方法を組み合わせてみるのもおすすめです。間口を広げて転職活動をすることは、自分の可能性を広げることにもつながります。どれが自分に合った手法か分からない場合は、まずは幅広い方法をチャレンジしてみると良いでしょう。
転職活動を上手に進めるためのコツ
転職活動を成功させるには、企業について調べたり、求人に応募したりする前にやるべきことが2つあります。それは、 「なぜ転職したいのか」という転職の目的を整理することと、 自己分析を行うことです。より良い労働環境で働きたい、キャリアアップにつなげたいなど、転職の目的を明確にすることで企業の選定もしやすくなります。そして、これまでの経験・スキルや得意分野を整理したうえで、自分はどんな仕事をしたいと思っているのか、改めて考えてみてください。就労経験が浅く、スキルや実績があまりない場合でも、自分の長所や学生時代の功績、得意とすることなどを掘り下げて見ていきましょう。
自己分析ができたら、それを踏まえて中途採用の求人情報を検討していきます。企業側が求めている人材に自分がマッチしているか、自分の転職の目的にその企業がマッチしているかを慎重に見極めてください。転職活動を上手に進めるためも、応募書類の準備や面接対策は、転職目的の整理や自己分析、企業分析が終わってから進めていくのが良いでしょう。
まとめ
インターネットやSNSの発達により、近年ではさまざまな採用方法が存在します。この記事で紹介した8つの採用手法の特徴を理解したうえで、自分に合ったものを選択して転職活動を優位に進めていきましょう。ただし、転職活動を成功させるためには自分に合う転職手法を選ぶだけでなく、あらかじめ自己分析や企業分析をしっかり行っておくことが大切です。時間や手間がかかるかもしれませんが、正しいステップを踏むことで理想の転職先に出会える可能性が広がるでしょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー:
八重樫 勇輝
株式会社ReBoot代表取締役
年齢:29
出身地:岩手県
趣味:漫画・映画鑑賞
経歴:
自分の転職活動の際、周囲のサポートで助けられたことをきっかけに、今後は自分が求職者の助けになることを決意し、起業。
現在は代表自ら求職との面談・就職支援を精力的に行う日々に明け暮れている。
求職者の皆様への一言:
面談から求人のご案内、資料の作成、入社後のフォローまで手厚くサポート致します!
Comments