「面接を受けてみたら思っていた雰囲気とは違った」「他の企業から内定をもらった」など、転職活動を進める中で面接を辞退することはやむを得ないでしょう。しかし、企業側は選考のために多くの時間や労力を費やしています。面接の辞退は企業に多大な迷惑をかけてしまうということを頭に置いて、マナーに則って適切にお断りするのが基本です。この記事では、面接辞退に関するマナーや正しい断り方について解説します。面接を辞退しなくてはならないタイミングがきたら、ぜひ参考にしてください。
もくじ
押さえておきたい面接辞退のマナー3つ
面接を辞退する理由は人それぞれですが、どれだけ正当な理由であっても企業からすると採用計画を狂わせるマイナスな申し入れとなります。採用担当者に納得してもらうためにも、マナーをしっかり守って面接辞退の旨を伝えることが重要です。
ここでは、押さえておきたい3つのマナーについて解説するので、これらは最低限守るようにしてください。辞退の仕方が失礼だとあなただけではなく、あなたの現職や前職の企業イメージへも悪影響を与えてしまう恐れがあります。
マナー1.無断キャンセルはNG!どんな理由でも必ず連絡する
採用担当者に面接辞退の旨を伝えるのは気が重いですが、無断キャンセルだけは絶対にしないようにしてください。これまで選考に関わってくれたすべての関係者や当日の面接官に迷惑をかけるだけでなく、企業の採用計画にも大きく影響を与えることになります。仮に今後関わる機会がない企業だとしても、誠実に対応するのが社会人としてのマナーです。どんな理由であっても、必ず断りの連絡を入れるようにしましょう。
辞退の理由は自分から話す必要は無い
面接を辞退する際、先方から理由を尋ねられない限り、詳しく説明する必要はありません。「検討の結果」「一身上の都合」「諸般の事情」などという表現で伝えるようにしましょう。正直に話すことで企業批判と受け取られたり、相手を不快にさせたりしてしまう恐れがあるためです。当然ながら、応募者には選考を途中で辞退する権利があるので、余計なトラブルを避けるためにも理由は曖昧のままで問題ありません。
それでも詳しい理由を尋ねられた場合は、無理に隠そうとせず自分の言葉で正直に理由を説明しましょう。
「他社から内定をいただき、考えた末、そちらへ入社することを決めた」
「自分の適性を考えた結果、御社への貢献は難しいと感じた」
「家庭の事情で就業が困難となった」
上記のような表現にとどめておくのが良いでしょう。当たり前ですが、「他社の方が良い条件だった」「ネットに良くない評判が書かれていた」などという角が立つ言い方は避けてください。これまで選考でお世話になった採用担当者を不快にさせない言葉選びを心がけましょう。
マナー2.辞退を決めたらすぐに連絡する
どんな理由でも、面接を辞退すると決めたらすぐに連絡してください。企業側はすでに今後の日程調整などを進めている可能性が高いので、面接日ギリギリにキャンセルして迷惑をかけないようにしましょう。先方の予定を少なからず狂わせてしまっているということを肝に銘じて、なるべく早く連絡するのが正解です。
ただし、面接をした後に選考辞退を決めた場合は、基本的に面接の結果を待ってから辞退の連絡をするようにしましょう。結果が出る前に辞退するのはマナー違反です。面接の結果が知らされ、次の選考プロセスに進むことが確定したら、早めに辞退の旨を伝えてください。
連絡する時間帯は営業時間内が適切
面接辞退の連絡は、電話とメールどちらの場合でも、企業の営業時間内に行うのが適切です。どうしても営業時間内に連絡できない場合は「夜分遅くに(朝早くに)失礼いたします」と一言添えましょう。メールであれば、先方の営業時間内に時間を指定してメール送信予約を設定するのも一つの手です。
また営業時間内であっても、始業直後や終業間際など、忙しいと予想される時間帯の連絡は控えるべきです。なるべく先方が対応しやすい時間帯に連絡してください。
転職エージェントを利用しているなら、まずエージェントに連絡を
転職エージェントを利用している場合は、直接企業に辞退の連絡をするのはマナー違反です。必ずエージェントの担当者に面接を辞退する旨を伝え、エージェントを通して辞退の連絡をしてもらうようにしましょう。
企業と直接やり取りをする場合と同様、辞退の連絡はなるべく早く行ってください。連絡が遅くなるほど、企業だけではなくエージェントにも迷惑をかけてしまうことになります。エージェントからの信頼を失ってしまうと、今後の転職活動まで不利になる恐れもあるでしょう。エージェントとの今後の関係にも配慮して、辞退を決めたらすぐにエージェントに連絡してください。
また、面接を辞退するか悩んでいる場合は、一度エージェントに相談してみることをおすすめします。転職エージェントは転職活動の相談役でもあるので、辞退するか悩んでいる理由を正直に伝えても問題ありません。むしろその理由をきちんと伝えることで、それ以降に紹介してもらう企業や求人のミスマッチを防ぐことにもつながります。
マナー3.面接当日の連絡は電話とメールの両方で
面接辞退の連絡手段は、基本的に前日までなら電話とメールのどちらで連絡しても問題ありません。それを前提として、メールには受け手の都合に合わせて確認できるというメリットがあるため、まずはメールで連絡するようにしましょう。もし、1~2日経っても担当者から返信がなければ、電話で直接伝えるようにしてください。
また、面接当日の連絡となってしまう場合は、メールだけでは担当者が気付かないことも考えられるので、メールと電話の両方で伝えた方が確実です。連絡の順序としては、メールを送った後に電話でフォローするようにしてください。面接直前の辞退となると、その分企業側の負担も大きくなるので、より丁寧に対応することを心がけましょう。
寝坊やスケジュールミスなどで無断キャンセルしてしまったら?
寝坊やスケジュールミスなどが原因で連絡をしないまま面接時間を過ぎてしまった場合は、気付いた時点ですぐに連絡するのがマナーです。企業によってはもう一度面接のチャンスを与えてくれる可能性もあるので、必ず無断キャンセルをしてしまったことを誠実に謝罪するようにしてください。
ただし、「寝坊をして約束の時間に間に合わなかった」などと正直に話してしまうと、社会人としての自覚がない人だと判断されてしまいます。在職中の場合であれば、「仕事で緊急のトラブルがあり、対応に追われてどうしても連絡できなかった」などの理由で謝罪をすれば、先方も理解を示してくれるでしょう。
テンプレート付き!印象を悪くしないメールの書き方・電話での伝え方
実際に面接辞退の連絡をメールや電話で行う際はどのような点に注意すべきか、押さえておきたいポイントについて解説します。
―メールの書き方
件名には必ず用件と名前を明記する
件名:面接辞退のご連絡/求人 太郎 |
ビジネスメールを送るとき、メールの内容が一目で分かるよう、件名には必ず用件を記載しましょう。その際、「面接の件」などという曖昧な表現は避け、面接を「辞退する」旨が分かるように明記してください。また、誰からの連絡であるか、件名にも自分の名前を入れておくと丁寧な印象を与えます。
辞退理由別テンプレート例文3選
辞退の理由にかかわらず、メール本文の冒頭には企業名、担当部署、担当者名の順で宛名を書きます。会社名や担当部署は省略せず、正式名称を書いてください。会社名には法人格を付けるのも忘れないようにしましょう。また、担当者の名前に誤りがないかもしっかり確認してください。面接辞退の旨を伝える前に必ず自らの名前を名乗り、面接の約束に対するお礼を伝えます。その際、 約束していた面接日程も合わせて伝えると、担当者も確認しやすく丁寧な印象です。
その上で、本題の面接を辞退する旨について伝えます。前述の通り、面接を辞退する理由は先方から尋ねられない限り、原則として自分から詳しく説明する必要はありません。最も一般的な伝え方は、「一身上の都合により」という表現を用いることです。
文末にはお詫びの文面と結びの挨拶を添えてください。このとき、対面で直接伝えるのではなく、メールでの連絡になったことについても謝罪の言葉を添えましょう。
辞退理由1.一身上の都合によるもの
=========== 件名:面接辞退のご連絡/求人 太郎 =========== 本文: 株式会社○○ 人事部 採用担当者様 先日、○次面接のご連絡をいただきました求人 太郎と申します。 その節は、誠にありがとうございました。 ○月○日に面接のお約束をしておりましたが、一身上の都合により選考を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。 お忙しいところ貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このような形となり誠に申し訳ございません。 身勝手なお願いで大変恐縮ですが、何卒ご理解、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。 本来であれば直接お詫びすべきところではございますが、メールでのご連絡となりましたことを重ねてお詫び申し上げます。 末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。 --------------------- 求人 太郎 〒100-XXXX 東京都中央区△△X-X-X 電話番号:***-****-**** メール:******@***.com --------------------- |
辞退理由2.他社から内定が出たため
基本的には、先述した「一身上の理由により」という内容の断りメールがベストですが、後から詳しい理由を聞かれることも考えられるので、先に理由を説明しておいても問題ありません。選考を通じて採用担当者と関係性が築けていたのであれば、素直に理由を伝えてお詫びをしたいという気持ちもあることでしょう。その際、「他社から内定をもらったため、そちらへの入社を決めた」と言う分には差し支えありません。特に同じ業界内で転職活動をしている場合は、今後仕事を通じて関わる可能性も考えられます。このように、他社の内定を受ける際は、そのことを正直に伝えた方が良いケースもあるでしょう。
=========== 件名:面接辞退のご連絡/求人 太郎 =========== 本文: 株式会社○○ 人事部 採用担当者様 先日、○次面接のご連絡をいただきました求人 太郎と申します。 その節は、誠にありがとうございました。 ○月○日に面接のお約束をしておりましたが、別の企業から内定を頂戴し、考えた末にそちらへ入社することを決断いたしました。 そのため、選考を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げた次第です。 お忙しいところ貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このような形となり誠に申し訳ございません。 身勝手なお願いで大変恐縮ですが、何卒ご理解、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。 本来であれば直接お詫びすべきところではございますが、メールでのご連絡となりましたことを重ねてお詫び申し上げます。 最後になりましたが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。 --------------------- 求人 太郎 〒100-XXXX 東京都中央区△△X-X-X 電話番号:***-****-**** メール:******@***.com --------------------- |
辞退理由3.家庭の事情のため
家庭の事情が原因で面接を辞退することになっても、プライバシーに関わることなので、どのような状況であるか詳細まで説明する必要はありません。この場合、「家庭の事情で就業が困難となった」と表現するのが一般的です。
また、体調不良のために面接を辞退することもあるかもしれませんが、体調不良が理由ならば日程を調整すれば良いと捉えられてしまうかもしれません。辞退の意志が固まっている場合は、体調不良を理由にするのは避けましょう。
=========== 件名:面接辞退のご連絡/求人 太郎 =========== 本文: 株式会社○○ 人事部 採用担当者様 先日、○次面接のご連絡をいただきました求人 太郎と申します。 その節は、誠にありがとうございました。 ○月○日に面接のお約束をしておりましたが、家庭の事情により就業が困難な状況となったため、面接を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。 お忙しいところ貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このような形となり誠に申し訳ございません。 身勝手なお願いで大変恐縮ですが、何卒ご理解、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。 本来であれば直接お詫びすべきところではございますが、メールでのご連絡となりましたことを重ねてお詫び申し上げます。 最後になりましたが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。 --------------------- 求人 太郎 〒100-XXXX 東京都中央区△△X-X-X 電話番号:***-****-**** メール:******@***.com --------------------- |
―電話での伝え方
面接当日の場合やメールへの返信がない場合は、前述の通り、電話にて面接辞退の旨を伝えましょう。
まず、面接を予定していた日程とともに名前を名乗ります。その後、担当者に繋いでもらうために「採用担当の○○様はいらっしゃいますでしょうか?」などというように尋ねましょう。取り次いでもらったら、面接辞退の旨を伝えます。電話の場合も原則として、「一身上の都合により」というように自分から辞退の理由を詳しく説明する必要はありません。もし尋ねられたら、誠意をもって正直に理由を伝えましょう。
電話で伝える場合の例文
お世話になりまってお。○月○日に面接のお約束をしております求人 太郎と申します。 採用担当の○○様はいらっしゃいますでしょうか? |
この度は、○次面接のご連絡をいただきまして、誠にありがとうございます。 大変申し上げにくいのですが、一身上の都合により選考を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。 (詳しい理由を聞かれた場合) 他の企業から内定をいただいておりまして、自分の適性を考えた結果、そちらへの入社を決断いたしました。 選考のために貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような形となってしまい大変申し訳ございません。 本来であれば直接お詫びに伺うべきところですが、電話でのご連絡となり恐縮です。 それでは失礼いたします。 |
電話がつながらないときは?
担当者に電話がつながらなかった場合は、面接を辞退する旨を担当者に伝えてもらうよう伝言をお願いしましょう。その上で、採用担当者宛に「先ほどお電話させていただきましたが、ご多忙のようでしたので、メールにて失礼いたします」というように、電話をしたが繋がらなかったことを添えて メールを送るようにしてください。
まとめ
やむを得ず面接を辞退する際は、選考のために時間と労力を費やしてくれた採用担当者に対して感謝とお詫びの気持ちを示すことが大切です。断り方のマナーを守って誠実に対応すれば、企業側もきっと理解してくれるはずです。ただし、安易な気持ちで面接を辞退するのは絶対にやめましょう。そもそも再応募を受け付けていない企業もありますし、再応募で内定に至るケースは非常に稀です。社会人としてのマナーを適切に守って転職活動を進めてください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー:
八重樫 勇輝
株式会社ReBoot代表取締役
年齢:29
出身地:岩手県
趣味:漫画・映画鑑賞
経歴:
自分の転職活動の際、周囲のサポートで助けられたことをきっかけに、今後は自分が求職者の助けになることを決意し、起業。
現在は代表自ら求職との面談・就職支援を精力的に行う日々に明け暮れている。
求職者の皆様への一言:
面談から求人のご案内、資料の作成、入社後のフォローまで手厚くサポート致します!
Comments