【転職ノウハウ】離職率が高い業界はどこ?高くなる理由は?

更新日:11月14日



長く働ける転職先を見つけるためには、企業の離職率を確認するという観点があります。

一般的に、労働条件や職場環境の良い企業は、離職率が低い傾向にあります。ただし、離職率の定義は企業によって異なり、数値の大小だけで比較できない場合もあるので注意が必要です。

この記事では、企業の離職率について、平均値や業界による違いを解説します。また、離職率の調べ方や離職率が上がる要因、離職率以外に確認すべきこともあわせて紹介するので、転職活動時にぜひ参考にしてください。

 

もくじ

離職率とは

―離職率の計算方法

―日本の平均離職率

―本記事内での離職率の定義

離職率は業界によっても変わるのか?

―離職率が高い業界ランキング(全16業界中)

―離職率が低い業界ランキング(全16業界中)

会社の離職率が上がる要因

―要因1. 職場の人間関係が良くない

―要因2. 労働時間・休日などの条件が悪い

―要因3. 給料が少ない

―要因4. 適切な人員配置が行えておらず、スキルや経験が活かせない

離職率の調べ方

―会社四季報で調べる

―転職エージェントに確認する

離職率だけじゃない!入社前に確認しておくべき3つのこと

―1. 会社の評価制度や研修制度

―2. 社風

―3. 労働条件

まとめ

 

離職率とは


離職率とは、一定期間内にどれだけ離職者が発生したかを表す指標です。では、どうやって離職率を算出しているのか、日本の平均値はどのくらいなのか、以下で詳しく解説していきます。


―離職率の計算方法


離職率の計算方法に法的な指定はありません。そのため、「新卒社員が3年以内に離職した割合」「中途社員が1年以内に離職した割合」といったように、企業によってさまざまな基準で計算されています。しかし、一般的には厚生労働省が示す以下の計算式にて求められることが多いです。


離職率の計算式

離職率=離職者÷従業員数(1月1日時点)×100%


例えば、2021年1月1日時点の従業員数が100人で年間の離職者が2人だった場合は、2021年の離職率は2÷100×100%=2%となります。一方で、3年前に入社した新入社員のみの離職率を計算する場合、入社時の社員数が5人で3年以内に1人が退職したとすると、3年以内離職率は1÷5×100%=20%です。このように、離職率は母数となる従業員数に大きく影響を受けることになります。全体の離職率を求める場合に新入社員数だけを母数とすることはないですが、新入社員の離職率を算出する場合は、上記のように新入社員だけを母数として計算することがあるため、採用人数が少ない企業では離職率が高く出ることがあります。


―日本の平均離職率


厚生労働省が令和3年に発表した「令和2年雇用動向調査結果の概況」では、日本の平均離職率は14.2%でした。男女の離職率を比較すると、男性12.8%、女性15.9%で、女性のほうが高くなっています。男女間の差は縮小傾向にあるものの、依然としてライフイベントを機に離職する女性が多いと考えられます。また、離職率は雇用形態によっても差があり、一般労働者(※1)の場合は10.7%、パートタイム労働者(※2)の場合は23.3%です。一般労働者には正社員や派遣社員などが含まれますが、パートタイム労働者よりも長期雇用を望む労働者が多いことから、一般労働者のほうが離職率は低い結果となっています。


※1 一般労働者とは 常用労働者のうちパートタイム労働者を除いた労働者。正規社員(正社員)、派遣社員などのことを指す。

※2 パートタイム労働者とは 1日の所定労働時間や1週の所定労働日数が一般労働者よりも少ない労働者。アルバイト・パートのことを指す。


―本記事内での離職率の定義


本記事で紹介する離職率に関しては、厚生労働省「雇用動向調査」にて用いられている離職率を使用します。算出方法は以下の通りです。


離職率の算出方法

離職率=離職者(※3)÷1月1日現在の常用労働者(※4)×100%

※3 離職者とは 常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所を退職または解雇された人を指す。他企業への出向・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者を除く。 ※4 常用労働者とは 次のいずれかに該当する労働者を指す。(パートタイム労働者を含む) ①期間を定めずに雇われている者 ②1か月以上の期間を定めて雇われている者



離職率は業界によっても変わるのか?


離職率の平均値は、性別や労働形態だけでなく、業界によっても異なります。以下では、離職率が高い業界と低い業界をランキング形式で紹介します。それぞれの業界について、なぜその業界の離職率が高いのか解説していきます。なお、離職率は給与水準や雇用形態比率に応じて変動するので、産業別の月間平均賃金ならびに雇用形態割合の数値を紹介し、それをもとに考察します。


―離職率が高い業界ランキング(全16業界中)


離職率が高い業界1位:宿泊業、飲食サービス業

全産業の中で離職率が最も高いのは、宿泊業、飲食サービス業でした。ただし、離職率が高いだけではなく、入職率も同様に高いので人の入れ替わりが激しい業界であることが分かります。離職率が高い理由としては、そもそも非正規の職員の雇用が多いということが第一の要因として挙げられます。また、シフトが不規則で深夜業務を伴うことや、給与水準が他業種よりも低いこともあわせて要因となっていることが考えられます。特に宿泊業の場合は24時間宿泊客の対応を求められるため、働く時間も不定期であり、深夜勤務も発生します。また、宿泊業、飲食サービス業の月間平均賃金は全ての業界の中で男女とも最も低く、男性で27.8万円、女性で20.8万円という結果でした。


離職率が高い業界2位:サービス業

2番目に離職率が高いのは「サービス業(他に分類されないもの)」です。この業界には、廃棄物処理、自動車整備、機械等修理、職業紹介・労働者派遣などの仕事が含まれます(国税庁「日本標準産業分類からみた事業区分」より抜粋)。月間平均賃金は男性28.3万円、女性22.8万円で、全業界の中では低い給与水準となっています。

離職率が高い理由は、宿泊業、飲食サービス業同様に非正規雇用の職員割合が平均と比べて高いことや、給与水準が低いという点などが挙げられます。また、土日祝日に仕事が入る可能性が高い業界であり、休みの取りやすさといった環境面もひとつの要因としては考えられます。


離職率が高い業界3位:生活関連サービス業、娯楽業

3番目に離職率が高い「生活関連サービス業、娯楽業」には、旅行やブライダル、葬儀、美容、クリーニングなどのサービス業、また、遊園地、ゲームセンター、パチンコ店、映画、競馬などの娯楽業が含まれます。月間平均賃金は男性30万円、女性22.5万円となっており、この業界も業界全体の中では平均と比べると低い給与水準となっています。

離職率が高い理由としては、非正規職員の割合が高いから、給与水準が低いからという理由に加えて、娯楽業という特性から定期的な休みが取りにくいが考えられます。週休1日制を採用している企業もあり、他業界と比べて休暇が少ない可能性もあります。


離職率が高い業界4位:教育、学習支援業

4番目に離職率が高い教育、学習支援業は、主に児童・生徒に対して教育を行う仕事です。保育園、小学校、中学校、高等学校、大学はじめ、学習塾や図書館などの施設も含みます。月間平均賃金は男性42.9万円、女性30.6万円と業界の中で高水準となっています。なお、離職率よりも入職率が多い業界であることから、人気の業界であることが分かります。

離職率が高い理由としては、非正規雇用の職員割合が平均と比べて高いことや、保護者の対応やクラブ活動の顧問を務めるなど本来の業務以外の仕事も多く、時間外労働が多いことなどが考えられます。また、教員免許など資格やスキルを活かして同業界内での転職を行う人も多い業界です。


離職率が高い業界5位:不動産業、物品賃貸業

5番目に離職率が高いのは、不動産業、物品賃貸業です。物品賃貸業には、自動車や産業用機械、事務用機械などを賃貸する事業が含まれます。月間平均賃金は男性36.9万円、女性26.5万円と、平均よりも若干高い水準となっています。不動産業、物品賃貸業も離職率より入職率のほうが多く、離職する人だけではなく入社する人も多い業界であることが分かります。

離職率が高い要因としては、土日祝日などでの休みの取りにくさ時間外労働の多さなどが挙げられます。特に不動産業界は土日に顧客との商談などを行うことが多く、土日ではなく平日に休みを設けられているケースが多いです。


―離職率が低い業界ランキング(全16業界中)


離職率が低い業界1位:鉱業、採石業、砂利採取業

全業界の中で最も離職率が低いのは、鉱業、採石業、砂利採取業です。鉱物や原油、石炭などの資源を扱う業界のことを指します。月間平均賃金は、平均よりもやや高く男性35万円、女性25.7万円という結果になっています。

離職率が低い理由のとしては、給与水準が高いことに加えて、そもそもの採用ハードルが高いことも一因として考えられます。重機等の資格を保有していなければ行えない業務が多数発生するため、有資格者のみが採用され、そのまま長期で労働を続ける人が多いのです。


離職率が低い業界2位:金融業、保険業

金融業、保険業も離職率が低い業界という結果が出ています。金融・保険業の月間平均賃金は男性47.9万円、女性28.1万円と、数ある業界の中でもトップクラスで高い水準となっています。給与水準が高いことは、離職率を下げる大きな要因のひとつであると考えられます。

また、金融や保険業においては、ノルマが厳しいイメージを持つ人がいるかもしれませんが、昨今の働き方改革により労働環境は改善されつつあり、従業員にとって働きやすい環境を整えようとする動きが見られます。経済的な安定性や働きやすさなどから、長期的に働く人が多いのだと考えられます。


離職率が低い業界3位:複合サービス事業

3番目に離職率が低い複合サービス業には、郵便局や農業協同組合などが含まれます。月間平均賃金は、平均よりもやや低い男性31.5万円、女性23.6万円という結果になっています。

給与水準こそ平均より低いものの、この業界は労働時間の短さが魅力です。厚生労働省「就労条件総合調査(令和3年)」によると、複合サービス事業の1日の所定労働時間は企業平均7時間38分で、全業界の中で最も短い結果となっています。家事や育児などと両立しながらでも働けるといった働きやすさから、結婚や出産などライフイベントが発生しても、そのまま仕事を続けるという選択をしやすい環境だといえます。


離職率が低い業界4位:情報通信業

4番目に離職率が低い業界は、情報通信業です。月間平均賃金は男性40.5万円、女性31.5万円と給与は高水準であることが分かります。ただし、同じ情報通信業に分類される企業でも事業分野や企業規模に応じて求められる働き方や待遇は変わります。

例えば、大手通信事業は、安定した給与を支給し、十分な人数の従業員を確保していることが多く、働きやすい環境であることから離職率が低くなっていることが考えられます。しかし、情報通信業には短期間に成長しているベンチャー企業も多く、従業員数が少なく労働環境が整っていないこともあるため、業務に追われることもあるでしょう。ただ、勢いのある業界であり、給与水準も高いことから、将来性に期待し、相対的に長期で働く人が多いということが考えられます


離職率が低い業界5位:製造業

5番目に離職率の低い製造業は、食料品やプラスチック製品、ゴム製品、金属製品などを製造する事業を指し、幅広い分野・職種を含みます。月間平均賃金は男性32.1万円、女性22.2万円と業界全体からすると中央地点程度の水準となっています。

日本の製造業は自動車製造業をはじめ、電気機器製造業、食品製造業、音楽機器製造業など世界に誇れる名だたる企業が数多く存在します。製造業界の中でも専門職に該当する分野であれば、学生時代に研究した専門分野と関連性のある知識を仕事でも活かしやすく、ミスマッチも起きづらいため、離職者が少ないと考えられます。また、研究・開発を担当する部署での仕事の場合は、5年先・10年先を見据えて研究・開発を行うこともあるため、研究の途中で離職をするということはあまりなく、長期で働き続ける人が多いということも離職率を下げているひとつの要因となっているでしょう。



会社の離職率が上がる要因


ここまで業界ごとの離職率を紹介してきましたが、その業界に含まれるすべての企業が同じ離職率であるとは限りません。それぞれの企業の職場環境や労働条件によって離職率は変わります。以下では、離職率が上がる要因について4つ解説します。


―要因1. 職場の人間関係が良くない


職場の人間関係に悩む人は少なくありません。厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概況」によると、転職理由について「職場の人間関係」と答えた男性は8.8%、女性は13.3%となっており、離職理由の上位として挙げられています。職場の人間関係が良くないと、仕事内容自体には満足していても、スムーズに仕事が行えないストレスから離職に至るケースも多いです。


―要因2. 労働時間・休日などの条件が悪い


近年の働き方改革によって、労働環境の改善に取り組む企業も増加しつつあります。しかし、業務の特性上、土日の出勤がやむを得ず発生したり、人手が足りず一人あたりの労働時間が長くなってしまったりといったことが続くと、離職率が上がることが予想されます。給与や待遇よりもワークライフバランスを重視する人も多いので、「休みのとりやすさ」「残業時間の少なさ」といったポイントも離職率に大きく関係してきます。


―要因3. 給料が少ない


自分が働いた分に見合った給料をもらえているという手応えがないと、「もっと良い条件で働ける勤務先があるのでは…」といった感情が先行し、離職を引き起こしやすくなります。業務量が多いわりに給料が低い、成果を出しても報酬として見返りがないなどの場合には、仕事に対するモチベーションが下がってしまうことも考えられます。


―要因4. 適切な人員配置が行えておらず、スキルや経験が活かせない


自分のスキルや経験が活かせないのは、仕事に対する不満やモチベーションの低下につながります。このように適切な人員配置が行えていない場合は、希望する仕事ができるように転職しようと考える人を増やしてしまう恐れがあります。



離職率の調べ方


企業の離職率はどのように調べれば良いのでしょうか。会社の採用ホームページや求人票に記載されている場合もありますが、開示していない企業も多くあります。また、会社説明会や面接時に離職率についてストレートに質問すると、悪い印象を与えてしまう恐れがあるので注意が必要です。離職率を調べる方法としては、以下のような方法があります。


―会社四季報で調べる


会社四季報には、上場企業の情報が集約されています。各企業の事業内容や業績、財務状況だけでなく、離職率も記載されているので、そこから確認しましょう。ただし、離職率に関しては開示していない企業もあるため、知りたい企業の離職率が確認できないこともあります。


―転職エージェントに確認する


転職エージェントの担当者に、気になる企業の離職率を聞いてみても良いでしょう。転職エージェントは、企業に求職者を紹介して報酬を得ますが、紹介した求職者が入社後すぐに退職してしまった場合は報酬を減額されるのが一般的です。そのため、人材の定着率が高い企業へ優先的に求職者を紹介できるよう、離職率を把握している可能性が高いのです。



離職率だけじゃない!入社前に確認しておくべき3つのこと


長く働ける職場に出会うために、ここからは離職率以外にも確認すべきことを3つ紹介します。離職率が高い業界・企業だからといって応募することをやめるといった決断をするのは早いです。最終的に自分の希望と合致している企業であれば、長く快適に働けるということも十分にあり得ます。あくまで参考として離職率やその原因も頭に入れておくべきではありますが、それよりも入社前に確認すべき点があるので、ここで紹介します。


―1. 会社の評価制度や研修制度


従業員の能力や会社への貢献度を評価する評価制度、また、入社後の知識・スキルを高めるための研修制度の有無は、仕事へのモチベーションに深く関係します。懸命に頑張っていたとしても評価に反映されなければ、次第に不満が募る恐れがありますし、入社後のサポートが受けられるかどうかによって安心感が変わります。入社してから、どのように自分が成長したいかをイメージしたうえで、志望企業の評価・研修制度をチェックし、不安な点がないか確認してみることをおすすめします。


―2. 社風


社内の人間関係は社風によって大きく変わるため、良好な関係を築いて気持ち良く働き続けるためには、自分に合う社風の企業を見つけることが大切です。企業のホームページにある社長のメッセージや転職エージェントに評判を聞くなどの事前の情報収集に加え、内定後には一度その企業を見学させてもらえるとベターです。そのときに一緒に働くメンバーなども紹介してもらえるとより安心でしょう。


―3. 労働条件


働く時間や給与など、労働条件はその条件に従って働かなければならないものとなるため非常に大切です。採用時には労働条件通知書という書類に労働条件が記載されています。その書類をもとに認識に相違がないかしっかりと確認をしましょう。また、基本的な労働条件とは別に、 福利厚生についてもあわせて確認しておくと良いでしょう。住宅手当・資格手当といった諸手当や育児支援制度といった福利厚生の有無は、会社の任意で定められるものです。それぞれの条件や手当が自分の希望と合致しているものか入社前にきちんと確認しておきましょう。


まとめ


離職率は、働きやすい会社を見つけるためのひとつの目安となります。業界の構造的に正規社員よりも非正規社員の割合が高い場合などは、おのずと離職率が高くなりやすい側面もありますが、労働環境が良くない場合なども、人が定着せず、離職率が高まるという傾向もあります。そのため、事前に入社を希望する企業の離職率を確認することは大切です。

ただし、離職率だけで企業の良し悪しを決めるのではなく、評価・研修制度や社風、労働条件などもあわせて確認することが大切です。転職活動を成功させるためには、事前の情報収集は欠かせません。長く働ける会社を見つけるために、離職率も含めた企業情報をしっかり確認するようにしましょう。

 

この記事を監修したキャリアアドバイザー:


八重樫 勇輝 

株式会社Reboot代表取締役


年齢:28

出身地:岩手県

趣味:漫画・映画鑑賞


経歴:

自分の転職活動の際、周囲のサポートで助けられたことをきっかけに、今後は自分が求職者の助けになることを決意し、起業。

現在は代表自ら求職との面談・就職支援を精力的に行う日々に明け暮れている。

求職者の皆様への一言:

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