近年急速にリモートワークが普及しています。総務省「令和2年通信利用動向調査の結果」では、5割近くの企業がテレワークを導入しているというデータも明らかになっています。平成30年時点では、普及率が約2割であったことから、リモートワークを導入する企業がここ3年で倍以上に増えたことが分かります。このような働き方の変化から、働く人の意識も変わり、「リモートワークに向いている職種に就いて自由に働きたい」「通勤時間をかけない働き方を選びたい」といった条件で、新しい仕事を探そうとしている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、リモートワークの言葉の定義を踏まえて、リモートワークに向いている職種や自宅で仕事をするために必要な準備を解説します。リモートワークに興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
リモートワークの定義
はじめに、リモートワークの定義を解説します。また、テレワーク・在宅ワークとの意味の違いについても紹介します。
―リモートワークとは「オフィス以外で業務を行うこと」
リモートワークとは、自宅をはじめ、カフェ・コワーキングスペース・サテライトオフィスなど、オフィスから離れた場所で働くことを指します。全くオフィスに出社しない勤務形態を「フルリモートワーク」、 リモートワークと出社を組み合わせた勤務形態を「ハイブリッドワーク」などと、それぞれ分けて呼ぶこともあります。
―テレワーク、在宅ワークとの違い
テレワークは、リモートワークと同様にオフィスから離れた場所で働くことを指します。「tele(離れた場所)」と「work(働く)」を組み合わせた造語で、出社せずに働くという意味になります。国や自治体では、オフィスに出社せず働くことを統一して「テレワーク」という言葉を使用していることから、なじみのある人が多いかもしれません。
一方で、在宅ワークは「内職」と同義で、基本的に企業と雇用関係を持たない業務委託という契約形態で、時間や場所にとらわれずに自宅を拠点に仕事をすることを意味します。ただし、近年では、雇用形態問わず広く「自宅で仕事をすること」を「在宅ワーク」と呼ぶこともあります。
リモートワークができる仕事の条件3つ
リモートワークをするには、いくつかの条件が必要です。以下に、3つ紹介します。
―条件1. その場に行かなくてもできる
リモートワークができる1つ目の条件は、働く場所の制約を受けない職種であることです。職種によっては物理的にリモートワークができないケースがあります。例えば、「飲食店で接客をする」「工場で製品を作る」「建物の施工をする」「病院で手当てをする」「特別な環境で研究をする」といった職種は、現場で働く必要があるため、リモートワークをすることは難しいでしょう。従業員同士でチャットやメールなどのツールを使ってコミュニケーションを取るなど、オンラインで完遂できるような職種でなければリモートワークはできません。
―条件2. 成果が明確に評価できる
2つ目の条件は、対面で仕事ぶりを見なくても、明確な評価ができる職種であることです。例えば、ITエンジニアやライター、デザイナーなど、それぞれのプログラム・原稿・デザインなどの成果物次第で評価を受けられる職種でなければ、リモートワーク体制下において正確な仕事への評価ができません。そのため、仕事の成果が明確に評価できる仕事以外は、リモートワークに不向きの仕事といえます。
―条件3. セキュリティが担保されている環境であること
3つ目の条件は、自宅などオフィス以外でもセキュリティ環境を万全に整えて働けることです。情報漏えいや資料やパソコンの紛失など、リモートワークでのセキュリティリスクがある場合、会社がリモートワークを許可しない可能性が高いでしょう。オフィスであれば、セキュリティ体制が整えられていますが、リモートワーク環境化においては、個人のセキュリティ意識次第で重大なトラブルにつながる可能性もあります。そのため、万全なセキュリティ対策を整えられなければなりません。
リモートワークに向いている職種6選
リモートワークができる仕事の条件を踏まえて、ここからはリモートワークに向いている職種を具体的に紹介します。また、それぞれの職種がなぜリモートワークに向いているのかについても解説します。
―ITエンジニア
ITエンジニアは、システムの開発をするために提案・設計・開発・検証など開発に関連する一連の業務を行います。必要なツールやインターネット環境があれば、働く場所の制限を受けずに仕事がしやすい職種のひとつです。特定の企業に正規社員として雇用されるケースもありますが、フリーランスとしてさまざまな案件を業務委託として受注する働き方なども考えられます。設計書を作成したり、コーディングを行ったりなど作業する場所に制限されない業務が多く、成果物も明確に示すことができるため、ITエンジニアはリモートワークに向いている職種といえます。
―WEBデザイナー
WEBデザイナーは、WEBサイトのデザインやWEBバナーのデザインなどを作成する仕事です。基本的に、業務はオンラインで完結できることが多く、仕事の成果として目に見えるという点で、リモートワークに向いている職種のひとつです。デザインの方針を決めるためのヒアリングや社内外の関係者と打ち合わせを行うこともありますが、黙々と作業をする機会が多いので、パソコンや制作ソフトなどの環境が整えられるのであれば、自宅でも業務を行いやすい仕事でしょう。ただし、ある程度パソコンなどの使用機材のスペックは必要です。
―企画職
企画職は、アイデア・課題解決策を立案する仕事全般を指し、さまざまな職種があります。例えば、商品企画や商品開発といった自社製品またはサービスの開発に携わる職種もあれば、マーケティング・広報といった自社のプロモーション・PR戦略を企画する職種など多岐に渡ります。総じて企画職は、オンラインで業務を完結しやすい職種が多く、リモートワークに向いているといえます。直接対面で打ち合わせをすることや現地調査など現場を訪問する必要が生じることもあるかもしれませんが、必ずオフィスでなければ出来ない業務が頻繁に発生しにくいので、リモートワークがしやすい職種です。
―コンサルタント
コンサルタントは、クライアントの相談役として、クライアントが抱える課題解決のためのソリューションを提供する業務を行います。担当する企業規模によっては経営の根幹部分を任されたり、経営者の右腕として頼りにされたりする職種でもあります。仕事の内容はクライアントの相談次第で決まりますが、現場に常駐していなくてもオンラインで完結できる業務であることが多いです。また、仕事の成果は対象製品・サービスの売上やWEBサイトのアクセス数など実績で判断されることが多く、成果を測りやすい点もリモートワークに向いています。
―カスタマーサポート
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせ窓口として、電話・メール・チャットなどでやりとりを行う仕事です。顧客の個人情報も取り扱うことから、決められた場所への出社を必要としそうな職種ですが、自宅などでパソコンやインターネット環境、雑音が入らない作業空間を用意できれば、リモートワークでも対応できる場合があります。報告のフローや、対応マニュアル、セキュリティ環境がきちんと整えられている企業であれば、リモートワークを導入しているところも多いです。業務の成果は対応件数など数値化できるものが多いため、成果も測りやすいでしょう。
―ライター(校正・校閲を含む)
ライターは、書籍・雑誌やWEBサイトなどの文章のライティング、校正・校閲などを行う仕事です。ライターも比較的働く場所の制限を受けない職種といえるでしょう。Wordで原稿をまとめたり、WEB会議ツールやチャットツールで打ち合わせを行ったり、業務の多くは1人で作業を進めることができるため、リモートワーク向きの仕事です。求められる成果物も、原稿など示せるものが多いため評価もしやすいでしょう。
リモートワークを始める前に準備すべきこと
自宅で1日仕事をするには、仕事がしやすい環境を整える必要があります。オフィスと同レベルの環境整備は難しいかもしれませんが、仕事に集中できる作業環境は整えたいところです。リモートワークを始めるにあたって準備したい2つのポイントを見ていきましょう。
―ポイント1. 机・椅子など仕事に集中できる備品を用意する
快適に働くためには、長時間作業しても体に負担がかからない机・椅子などの備品を用意する必要があります。机は、作業スペースが十分なものを選ぶようにしてください。椅子は、机の高さに合うものを選びましょう。無理な姿勢で長時間座っていると、身体に負担がかかり、腰や背中を痛めてしまう可能性があるので注意してください。
―ポイント2. Wi-Fiなど通信環境を整える
スムーズに業務を遂行できるように、安定したインターネット環境を整えることも大事です。関係者とコミュニケーションを取るためにチャットやメールWEB会議をしたり、データのアップロード作業を行ったりなど、インターネット環境が整っていないと業務が行えないこともあります。通信環境によっては、仕事に支障が出る恐れもあるので、これからインターネットを開通する場合は、各社のサービスの評判を確認した上で、自分の業務を行うエリアに対応している光回線を選ぶと良いでしょう。
まとめ
近年急速に働き方が変化し、リモートワークを導入している企業も増えました。しかし、全ての職種でリモートワークを導入することは難しく、仕事の種類によっては向き・不向きがあります。もし、リモートワークの仕事を探したい場合は、この記事で紹介したようなITエンジニアやWEBデザイナーなど、決まった場所に出勤しなくても業務が行える且つ、成果が明確に評価できる仕事を探すことをおすすめします。そして、リモートワークをすることが決まったら業務に支障が出ないように、作業環境をしっかり整えて万全の体制で仕事に臨みましょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー:
八重樫 勇輝
株式会社Reboot代表取締役
年齢:28
出身地:岩手県
趣味:漫画・映画鑑賞
経歴:
自分の転職活動の際、周囲のサポートで助けられたことをきっかけに、今後は自分が求職者の助けになることを決意し、起業。
現在は代表自ら求職との面談・就職支援を精力的に行う日々に明け暮れている。
求職者の皆様への一言:
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