キャリアの選択肢としてベンチャー企業に惹かれてはいるものの、漠然としたイメージが先行し、具体的にベンチャー企業がどのようなものかよく分からない人もいるのではないでしょうか。ベンチャー企業に就職しようと考えている人は、ベンチャー企業の特徴を詳しく理解しておくことが大切です。自分が本当にベンチャー企業に就職するべきか判断できるようになります。
この記事では、ベンチャー企業の定義や、ベンチャー企業で働くメリット・デメリットなどを解説します。これからの就職・転職先の候補としてベンチャー企業を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
ベンチャー企業とは
ベンチャー企業とは、一般的に「これまでにないアイデアや技術によって、世の中に新しい商品・サービスを提供して成長している企業」を指します。
では、よく混同されがちな中小企業・スタートアップ企業との違いや、日本国内で有名なベンチャー企業などを以下で具体的に紹介していきます。
―中小企業との違い
中小企業かどうかは、一般に会社の規模によって決まります。業種によって規模の基準は異なるものの、原則として一定の資本金や従業員数に満たない企業のすべてを指します。 一方でベンチャー企業かどうかは会社の規模によって定義されているわけではなく、これまでにない新しい商品・サービスを展開している企業かどうかで決まります。ベンチャー企業は少人数で起業するケースがほとんどで、中小企業の定義に当てはまっている企業が多いですが、いわゆる「メガベンチャー」と言われる企業のように、中小企業の基準を超え大企業として成長を遂げた企業もあります。
―スタートアップ企業との違い
ベンチャー企業は、上場や売却を目指していない会社も多いため、外部資本を入れずにそのまま運営をしている会社が多いです。一方で、スタートアップ企業は一般的にベンチャーキャピタルなど外部資本を入れて企業を成長させていくことがほとんどです。そのため、企業が成長したら最終的には上場または売却をすることをゴールとすることが多く、ベンチャー企業と比べてより短期的に急成長を求められます。
―有名なベンチャー企業10選
ベンチャー企業の定義をおさえたところで、国内の有名なベンチャー・メガベンチャー企業を10社紹介します。
国内の有名なベンチャー企業10選
株式会社リクルートホールディングス
Zホールディングス株式会社(旧「ヤフー株式会社」)
株式会社サイバーエージェント
楽天グループ株式会社
LINE株式会社
グリー株式会社
株式会社ZOZO
合同会社DMM.com
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
エムスリー株式会社
ベンチャー企業で働くメリット・デメリット
ベンチャー企業に興味はあるものの、自分が本当に目指すべきかどうかは、メリット・デメリットの両面をおさえてから判断すると良いでしょう。メリット・デメリットを知ることで、自分にとってベンチャー企業が合っているか冷静に考えることができます。では、以下に考えられるメリット・デメリットを解説します。
―メリット
ベンチャー企業で働くメリットは主に3つあります。
メリット1. 大きな裁量で仕事を任せてもらえるチャンスがある
従業員数が多い伝統的な大企業では、裁量や権限を与えられるまでにはある程度時間がかかるのが一般的です。一方、ベンチャー企業では社歴が浅くても大きな裁量や権限を与えてもらえることもあります。成果を上げた人が出世できる成果主義の会社が多いからです。経験年数が多い・少ないに問わず、上げた成果によって裁量が大きくなるため、入社1~3年目でもプロジェクトのリーダーを務めたり、管理職に就いてマネジメント業務を行ったりしているケースもあります。
メリット2. 部署・役職の垣根を超えた経験でレベルアップできる
ベンチャー企業は、少ない従業員数で事業をスタートさせることが多いです。そのため、あまり細かく分業されていないこともあり、部署の垣根を越えてさまざまな経験を積むことができる可能性があります。さまざまな部署を横断的に経験することで、ひとつの部署としての視点だけではなく、より 俯瞰的な視点で物事が考えられるようになり、自分の経験値が上がりやすくなります。
メリット3. 経営者との距離が近い職場環境で働ける
ベンチャー企業の魅力として、経営者との距離の近さも挙げられます。企業規模が大きい企業の場合、社長が同じフロアで仕事をしていないことが多く、指示系統も整備され、社長から直接指令がくることはあまりありません。一方ベンチャー企業は、社長から直接仕事の指示や指導が入る企業も多いです。ベンチャー企業の多くは、比較的少人数で業務を行っているため、指示系統が細分化されていないことがあるからです。経営者との接点を多く持てることは、自分の提案や疑問を直談判する機会も多く持てますし、学びの多い職場になることが考えられます。
―デメリット
次に、ベンチャー企業で働くデメリットについても見ていきましょう。デメリットは主に3つあります。
デメリット1. 安定した給与・待遇を期待できない
将来的な事業の成長により、高い給料を期待できる一方で、創業間もないベンチャー企業では、業務量や裁量に対して給与水準が低いと感じてしまうこともあるでしょう。前述したようなメガベンチャーであれば企業規模が大企業同等に成長しているため、制度も大企業の水準まで上げられている可能性はありますが、成長過程にあるベンチャー企業では、組織体制や福利厚生・社員研修などの制度が充実していないケースがあります。
デメリット2. 任される業務量が多い
ベンチャー企業で働くメリットとして「裁量の大きさ」を挙げましたが、その反面、一人当たりの業務量の多さが懸念されます。大企業のように業務が細分化されていないことがあるため、担当する範囲が広くなることがあるからです。さまざま業務を並行して進めていくことが苦手な人にとっては、任される業務が多いことがデメリットに感じることもあるでしょう。
デメリット3. 社風になじめないと働きづらい可能性がある
ベンチャー企業だけに限った話ではありませんが、企業にはそれぞれの社風があります。ただし、ベンチャー企業の場合は比較的少人数で仕事を行う企業が多いため、社長の考え方が従業員に深く浸透している可能性が高いです。そのため、従業員数が多い大企業よりも、色濃く社風が表れることもあります。その社風になじめないと、ストレスを抱えることになりかねません。
ベンチャー企業に向いている人の特徴
ベンチャー企業で働くメリット・デメリットをおさえたところで、ここからはどのような人が実際にベンチャー企業に向いているといえるのか、解説していきます。成長性に期待できる環境であるベンチャー企業は魅力的ですが、当然ながら人のタイプによって、向き・不向きがあります。以下にベンチャー企業に向いている人の特徴を3つ紹介します。
―特徴1. 将来的に起業を考えている人
ベンチャー企業は中長期的に成長していくことを目標とし、事業を拡大していくことを目指します。創業後から順調に成長していくためには、成果を出し続けていかなければならないので、スピード感を持って業務に取り組む必要があります。また、経営者の背中を見ながら経営スキルを近い距離で学べるチャンスもあります。そのため、起業後経営を軌道にのせるための大変さを経験できたり、経営者の考え方をヒアリングできたりする機会が多いので、将来起業を考えている人にとっては学びが多く得られるでしょう。
―特徴2. 変化や刺激を好む人
たとえ安定的な給料や待遇が得られなくても、変化や刺激を好む人はベンチャー企業で働くのに向いています。新しい商品やサービスを生み出すには、新たな市場の開拓が必要になるので、従来の価値に捉われず、どんなときも好奇心旺盛で、変化や刺激を楽しめる人には最適な環境だといえるでしょう。また、大企業に比べて会社の意思決定のスピードが速かったり、経営層へ提案を行いやすい環境が整えられていたりする企業も多いので、変化を恐れず常にチャレンジ精神を持ち続けられる人は向いているといえるでしょう。
―特徴3. 自分で考えて仕事をしたい人
ベンチャー企業は、少人数で業務を行うところが多いです。そのため、教育体制が整っていない企業もあり、自分で考えて仕事をする機会が多く与えられることもあります。また、ベンチャー企業の中には部署の垣根をこえてさまざまな業務を任せる企業もあるため、同じ業務を行うより新しい仕事がどんどん増えていくことも考えられます。誰かが教えてくれる環境ではなく、その都度、臨機応変に自分で考えて業務を行わなければいけないケースも多いでしょう。そのような対応力が必要となるため、自分で考えて動ける人にとっては適している環境といえます。
自分に合ったベンチャー企業の求人の探し方
さまざまな条件を考慮し、ベンチャー企業を目指すことを決めたら、いよいよ実際の企業探しです。令和2年4月号の財務省広報誌「ファイナンス」のコラムによると、スタートアップ企業だけでも毎年1,800社程度増えていることが分かっています。つまり、多くの選択肢の中から自分はどの企業に入社するべきか見極めなければなりません。以下では、具体的にどのようなポイントに注意して求人を探すべきか、3点紹介します。
―注力している事業と自分のやりたいことが合致しているか
自分のやりたいこととその企業の事業の方向性が合っているかどうかは、特に注意したいポイントです。熱意をもって入社したとしても自分のやりたいことと注力している事業に相違があると、やりたいと思っていたことに時間をかけられない可能性があります。必ず、求人票や企業の採用ページからどのような事業に力を入れていくのか確認し、自分にとって納得できる内容かどうかを照らし合わせましょう。入社後に自分のやりたいと思っていたことが実現できないと、働くモチベーションの低下につながってしまうことも考えられます。せっかく大きな裁量を与えられて、仕事を任される可能性もあるベンチャー企業なので、自分がとことん熱意をもって取り組める事業内容か事前にきちんと確認しておきましょう。
―社長の考え方に共感できるか
ベンチャー企業は、社長の考えが色濃く浸透しているケースがあります。創業メンバーはもちろん、社員たちに社長の考え方や企業理念が共有されて、社風に大きく影響を与えています。そのため、社長の考え方に共感できる企業を選ぶことは大切です。入社後の働きやすさに関わってくるでしょう。
―業績の伸び率
会社の注力事業と自分のビジョンが合っていて、社長の考えに共感できていたとしても、事業が軌道にのらずに倒産してしまっては働き続けられません。そのため業績をチェックしておくことが大切です。入社してから後悔しないためにも、過去数年の売上増加率や社員数の増加などのデータを見て、事業の将来性を予測するのをおすすめします。また、その企業の事業計画書などが開示されているようなら企業のホームページなどから確認し、今後どのような計画を立てているのか調べておくと良いです。ただし、必ず伸びる・安定性が期待できるという企業を完璧に予測することは難しいので、確認できる情報は確認しつつ、覚悟を持ってその企業に応募するかどうかを決めましょう。また、面接時にも細かく突っ込んだ質問をしてみても良いでしょう。
まとめ
ベンチャー企業とは、新しい商品やサービスを展開して、ビジネスを拡大する企業です。ベンチャー企業は、安定性があるとは断言できないものの、スピード感のある実践経験や経営層の近くで多くの学びを得ながら業務を行う経験など、ベンチャー企業ならではの経験を積むことは自分の大きな成長につながるでしょう。
ただし、ベンチャー企業への入社はメリットもあればデメリットもあります。自分にとって後悔のない選択をするために、本当にベンチャー企業への入社を目指すべきか冷静に考えるようにしましょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー:
八重樫 勇輝
年齢:28
出身地:岩手県
趣味:漫画・映画鑑賞
経歴:
自分の転職活動の際、周囲のサポートで助けられたことをきっかけに、今後は自分が求職者の助けになることを決意し、起業。
現在は代表自ら求職との面談・就職支援を精力的に行う日々に明け暮れている。
求職者の皆様への一言:
面談から求人のご案内、資料の作成、入社後のフォローまで手厚くサポート致します!
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