面接の場では「あなたの長所と短所を教えてください」という質問をよくされます。面接官から突然尋ねられると回答に困る人も多いでしょう。この記事では、面接における長所と短所の伝え方のポイントや回答例、短所を長所に言い換える方法を、表現一覧表とあわせて紹介します。
もくじ
面接官が長所・短所を尋ねる3つの理由
面接官は、応募者の長所と短所を尋ねることによって、応募者が自社で活躍できるかどうかを見定めます。具体的にどのようなことをチェックしているのか、面接官が長所と短所を尋ねる代表的な理由を見てみましょう。
―理由1.社風や業務内容にマッチしているかを判断するため
応募者が答えた長所と短所が、社風や求める人物像に即しているかどうかは必ずチェックされます。どれだけ素晴らしい長所があっても、会社の雰囲気や業務内容にマッチしない短所があると、入社後に思ったように活躍できない可能性があるためです。
―理由2.課題解決力や成長の可能性を確認するため
長所と短所を他人に説明するには、自身を客観視して分析する必要があります。自己分析がしっかりできている人は、仕事における自分の課題を正確に理解して、それを解決する能力に長けていると推測できます。また、強みを理解していれば、それを自らの武器として活かすことでさらなる成長が期待できるでしょう。このように面接官は、応募者の回答から課題解決力や 成長性を見定めます。
―理由3.仕事における逆境での強さをはかるため
仕事で壁にぶつかってしまった経験は誰しもあるかと思いますが、その後の行動によって成功するか失敗するか、結果が大きく左右されるでしょう。応募者の回答の中で、自分の長所を活かして解決しようと試みたり、短所を克服するために向き合ったりしたというエピソードがあれば、そこから逆境での強さをはかることができます。特に、無理難題な仕事を多く任されるポジションの場合、逆境に立ち向かう姿勢も大きな評価ポイントとなるでしょう。
長所・短所の答え方で注意すべき2つのポイント
長所や短所について答える際、前述の通り面接官の意図を踏まえて回答するのが基本です。その際、面接官に分かりやすく伝えるために結論から述べ、その後に根拠となる具体的なエピソードを交えて説得力を高めると良いでしょう。ここでは、それに加えて押さえておきたい2つの注意ポイントついて解説します。
―ポイント1.「ありません」や「分かりません」はNG
できれば短所は伝えたくないものですが、「短所はありません」や「分かりません」などと答えるのはNGです。このように答えてしまうと、面接官は「自己分析ができていない」「自分自身の評価が甘い」人だと受け取ってしまいます。自分にとってはマイナスと感じる質問でも、しっかりと受け止めて対応できる姿勢を持つことが大切です。
―ポイント2.多すぎても逆効果!長所と短所はひとつずつ
長所と短所を尋ねられたとき、いくつも挙げるのは避けましょう。それぞれひとつずつに絞って回答するのがベストといえます。なぜなら、いくつも話すとひとつひとつがぼやけて逆効果になってしまう可能性が高いからです。特に、長所は複数答えたくなるので注意しましょう。
長所と短所は表裏一体!長所・短所の言い換え表現一覧
長所と短所は表裏一体であり、答え方によっては短所を長所としてアピールすることができます。どのように言い換えることができるか、よくあるものを一覧表にまとめました。
例えば、「周りが見えない」という短所があれば、「自分の仕事に没頭するあまり、同僚が仕事で困っていても気づけないことがあります」などと話すと、周りが見えていない反面「集中力がある」人というプラスの印象にも映ります。上記の一覧表を参考に、面接での長所と短所に関する質問への回答は、できるだけポジティブな表現になるよう意識してください。
また、自分の長所が見つからないときは、短所をもとに対応する長所を導き出すことができます。反対に、短所が見つからなければ長所から探すなど、考えやすい方から回答を作るとスムーズです。
【長所の回答例】根拠となる具体的なエピソードを交える
あなたが持っている長所がどれだけ魅力的でも、それを初対面の面接官に言葉だけで納得させるのはなかなか難しいことです。長所に説得力を持たせるためには、過去のエピソードなど具体的な内容を交えて説明し、面接官に想像しやすくさせることを意識してください。それでは、長所の伝え方の回答例を紹介します。
―「リーダーシップ」を長所として挙げる回答例
私の長所はマネジメント能力があることです。前職では期間限定のアルバイトスタッフが多い現場において、そのスタッフ約30名をまとめる役割を任されました。例年、当日欠勤や途中で辞めてしまうスタッフが多いことが深刻な課題でした。そこで、原因は細かいスタッフ指導が行き届いていないことだと考え、スタッフ全員に明確な目標を伝える場を設けたり、率先して指導やフォローをする機会を増やしました。結果的に、期間中にアルバイトスタッフ全員が辞めることなく、目標としていた売上も前年比120%を達成しました。そのことが社内でも評価され、部署内のチームリーダーに昇格しました。
ポイント
マネジメント能力を長所としてアピールする回答で気をつけたいことは、単純に「マネジメント能力がある」と答えるだけだと「世話焼きな人」というイメージを持たれる可能性があります。もちろんメンバーの管理上ある程度の干渉は必要ですが、必要以上の干渉は人によってはお節介だと捉えられてしまうこともあります。そのため、自分のマネジメント能力によって、他人や会社に良い影響を与えたエピソードや、客観的に評価された事実を述べると悪いイメージを与えることなく効果的に長所をアピールできるでしょう。
―「行動力」を長所として挙げる回答例
私の長所は行動力があることです。前職の部署では、紙ベースの資料管理が大きな負担となっていました。同部署のメンバー間では、その課題を感じつつも業務改善に取り組めず、現状維持が続いていました。そこで私はメンバーに合意をとった上で、業務のデジタル化の企画書を作成し上司に提案しました。上司からの許可を受け、デジタル化のプロジェクトリーダーとして、紙での資料管理を電子化しました。また、移行に必要なマニュアルを作成し、デジタル移行作業がスムーズに進むようにメンバーに指導しました。その結果、部署全体の業務効率が改善し、一人あたりの月間残業時間を約5時間減らすことに繋がりました。
ポイント
漠然と「行動力がある」と答えても、面接官はあまりピンとこないでしょう。「他の社員が行わなかったことを率先的に取り組み、良い方向に向かった」というような実例を絡めることで、面接官はイメージをつかみやすくなります。その際、当時の状況や周りの人の反応はどうであったか具体的に話すことを心がけてください。自身の長所によって何か成果が出たのであれば、それを数値化できるとさらに説得力が増すでしょう。
【短所の回答例】克服に向けた努力や行動を交える
基本的に短所はネガティブな情報なので、自身の短所とその具体例だけを伝えるのは避けましょう。例えば、「私の短所は諦めが悪いことで、一度手を付けた仕事が成功するまで時間と労力をかけすぎてしまう癖があります」といったような回答です。この回答では、諦めが悪いことで柔軟性に欠ける人物だというマイナスなイメージだけを面接官に与えてしまう恐れがあります。
短所の回答で面接官に良い印象を与えるためには、短所を克服するためにどのように努力しているか、どう行動しているのかという具体的な話を交えて伝えることが大切です。そうすれば、前向きな姿勢や今後の成長を期待され、評価されるでしょう。それでは、短所の回答例を紹介します。
―「心配性」を短所として挙げる回答例
私の短所は心配性なところです。新しい仕事を始めるとき、失敗するのが怖くて準備に時間をかけすぎてしまうことがあります。そのため、なかなか行動に移せず、物事のスピードが周りの人よりも遅くなってしまうことがあります。そのため、業務の遅れを取らないように前もってタスクの洗い出しと求められる納期よりも少し早めに自分なりの締め切りを設けることを心がけています。そして、心配な部分は必ず最終確認を行うようにしています。
ポイント
心配性を短所として回答する場合、「行動できない臆病な人」だと受け取られる可能性があります。それを逆手にとり、リスクの備えができる、間違いを起こしにくい人といった印象を与えられるような話し方をすることが大切です。時間が許せば、持ち前の計画性をアピールできるエピソードについて話を膨らませても良いでしょう。
―「せっかち」を短所として挙げる回答例
私の短所は、せっかちなことです。納期を確実に守ろうとするあまりすぐ行動してしまい、ケアレスミスを起こしてしまうことがあります。そこで事前にスケジュールを立てて作業工程を見直し、納期に余裕を持たせるようにしています。その上で、最終チェックの工程を必ず追加して、ミスを起こさないようなチェック体制を意識して取り入れるようにしています。
ポイント
せっかちであるが故にケアレスミスを起こしてしまうという事実だけを伝えるとマイナスな印象しか残りません。それを克服するために、「納期に余裕を持たせてミスを防ぐ努力をしている」という前向きな姿勢を補足説明している点が好印象につながるでしょう。
まとめ
面接で長所や短所を答えるときは、企業が求める人物像に沿った内容であることがポイントです。さらに、過去のエピソードなどを交えて具体的、かつ簡潔に話すことであなたの魅力が面接官に伝わりやすくなります。
自身の長所や短所を考えてみても、自分では分からない、見つからないという人もいるでしょう。そんなときは、家族や友人など自分の周囲の人に尋ねてみることをおすすめします。周囲の評価には客観性があるため、面接官から見ても「きちんと自己分析ができている」人材という評価につながりやすいです。長所や短所を自ら把握できている場合でも、周囲の人たちに意見を求めることで、さらに客観性のある回答を作ることができるでしょう。
この記事で紹介した一覧表も活用しながら、客観性のあるポジティブな回答ができるように準備して面接に臨みましょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー:
八重樫 勇輝
株式会社ReBoot代表取締役
年齢:29
出身地:岩手県
趣味:漫画・映画鑑賞
経歴:
自分の転職活動の際、周囲のサポートで助けられたことをきっかけに、今後は自分が求職者の助けになることを決意し、起業。
現在は代表自ら求職との面談・就職支援を精力的に行う日々に明け暮れている。
求職者の皆様への一言:
面談から求人のご案内、資料の作成、入社後のフォローまで手厚くサポート致します!
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